横浜FMの運営担当の物差しを適用するならば、低迷しているチームのサポーターが良くやる「社長出てこい!」と叫び試合後に居座る行為などは、まとめて入場禁止にされても良さそうな気もするが、そんなニュースが耳に入ってくることはない。

ちなみに、この居座り行為はJリーグ独特のサポーター文化となっており、海外ではこうした光景が見られることはない。あまりにも不甲斐ない試合であれば、試合終了を待たずにさっさと帰宅し、終了のホイッスルが鳴った頃にはゴール裏が“無人”というケースもある。

またイタリアのセリエAでは、勝利した際にはゴール裏のサポーターとともに祝うことはあるが、サポーターと選手が言葉を交わすことは八百長対策の観点から厳に禁止されている。


クロアチア代表 サポーター 写真:Getty Images

変化するサポーターの禁止行為

海外では発煙筒の使用が日常となっているが、厳密に言えばUEFA(欧州サッカー連盟)やFIFA(国際サッカー連盟)のルールではこれを禁止している。FIFAワールドカップ(W杯)の会場ではライターの持ち込みさえも禁じられている。

しかしながら、発煙筒を焚いたサポーターが特定され入場禁止になったケースは数えるほどで、2024年のUEFA欧州選手権ドイツ大会でのクロアチア代表対アルバニア代表(6月19日/フォルクスパルクシュタディオン/2-2)で発煙筒を焚いたクロアチアサポーターに対する罰則は、サポーター個人ではなく、クロアチア連盟への2万8000ユーロ(約480万円)の罰金という形が取られた。

Jリーグでも2018年の天皇杯決勝、浦和レッズ対ベガルタ仙台(埼玉スタジアム2002/1-0)の試合前後に、スタジアム周辺で発炎筒を使用したとして、浦和のサポーター3人が書類送検されたが、その罪状は「道交法違反」だった。そのメンバーの1人の年齢が61歳だったことで、他クラブのサポーターから失笑を買った事件でもあったが、サポーターが発煙筒を焚く違法性を担保する法整備がされていないことも明らかにされた一件だった。