もう一つはトランプ氏の政権運営能力がどこまであるのかです。私がここに来て感じるのは次々と重要案件に大統領署名をしていますが、いわゆる大統領周辺の幹部はほぼ判断能力を持ち合わせず、事実をトランプ氏に伝えるメッセンジャーになっている点です。こういう政権はほぼ失敗します。よってセンチメンタルになっている株式市場はもう一度、冷静に市場経済の中の株式市場を再評価すべきなのです。今日のPCEも褒められたものじゃないし、来週の雇用統計も悪いでしょう。そうなれば利下げ期待が当然出てくるはずです。昨年ならそこで株価が盛り返すというのがシナリオでしたがね。

イーロンマスクは鬼か?

アメリカ政府の一部の職員にとってマスク氏は鬼と映ってもおかしくないでしょう。FTの記事には「DOGEの米国への攻撃は、歴史的にみて中国の文化大革命以外に比べるものがない」とまで書かれています。ではマスク氏が全面的に責められる立場かといえばこれにはやや思考を要します。なぜ、マスク氏は大ナタを振るわねばならなかったのか、その原点に立ち返る必要もあるのです。そのお題は「政府従業員は甘い汁を吸い過ぎていたのではないか?」。いや、私から見ればアメリカの全ての従業員への警鐘「人の振り見て我が振り直せ」ではないかと感じるのです。

私はコロナ末期からバイデン政権の民主党的、人権主義的、バラマキ的政策から政府が国民にまるでペイチェックのようにお金をばら撒いたあの政策が今でも驚愕の思い出なのです。「カウチに座ってポテチ―食いながらゲームしていてもお金くれるんだぜ。株のデイトレで小銭も稼げる」。もちろん皆が皆とは言いません。ただ、そのような風潮ができたことは事実なのです。そしてコロナが終わったら企業は雇用を急ぎます。猫より働きの悪い新カウチ族を高給で雇っても「この仕事、タルイぜ。俺、辞めるわ」が続出。雇用統計には見えない労働者の出入りに労働の質が落ち続けた、これが実態ではなかったでしょうか?