監視というと印象が悪いですが、自分が観察されているという事実は頑張りを見てもらっているとも言えます。そのため、本人が見られているということに対してどういう印象を持っているかも重要な要素になるでしょう。

そのためホーソン効果は、別に万能な効果というわけでもありません。

この効果は一時的なものである可能性が指摘されていて、最初のうちは監視されていることで成果が上がるものの、次第にその状況に慣れてしまうと、効果が薄れていくことがあるのです。

また、性格の影響も大きいと考えられています。監視されることがプレッシャーになり、逆にパフォーマンスを低下させてしまう人もいるでしょう。

実際、心理学の研究では、神経症傾向の高い人は監視されるとストレスを感じやすく、結果としてミスが増えたり、本来の実力を発揮できなくなることが示されています。一方で、外向的な性格の人は監視がむしろモチベーションとなり、より高いパフォーマンスを発揮しやすいとも言われています。

例えば、大勢の前でプレゼンを行う場面を想像してみてください。内向的な人は視線を意識しすぎて緊張し、言葉が詰まってしまうことがあります。しかし、外向的な人は観客の反応をエネルギーに変え、自信を持って話せることが多いのです。

このように、監視されることがプラスに働くかマイナスに働くかは、その人の性格特性によるところが大きいのです。

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他にも研究の多くが、ホーソン効果とそれ以外の要因を完全に区別できていないという問題もあります。

例えば、最初のホーソン工場を見た場合、研究で監視されていることで、上司も頭ごなしに怒鳴ったりしづらくなり、労働者が働きやすくなったためモチベが上がったという可能性も考えることができます。

授業参観の場合も、保護者がいるために先生がいつもより優しいなどの要因の方が大きかったりするかもしれません。

こうした要因は完全に区別するのは難しいのです。

誰かに見られるだけで良い方向に変化する、私たちの行動