また別で雇った参加者19名に、1995年と2005年時に撮影された顔写真の魅力度と見た目の年齢を評価してもらっています。
分析では、個人の収入、健康度、魅力度などの影響が入らないよう調整したうえで、金銭的ストレスの影響を調べました。
実験の結果、金銭的なストレスが低い人と比較して、金銭的なストレスが高かった人は見た目の年齢が実年齢よりも老けて見られる傾向がありました。
このような老けて見られる傾向は、お金以外の家庭や仕事のストレスでは関係性が確認されませんでした。

そして興味深いことに、金銭的なストレスは本人の感じる主観年齢との間に関連が見られなかったのです。
つまり「お金のストレス」を抱えている人は、自分では老けていないと考えている反面、実際には周りの人から実年齢よりも老けて見られていたのです。
ではなぜ「お金のストレス」は他人の目から老けて見られるようになるのでしょうか。
研究チームは「金銭的なストレスが大きいと、自分の外見に注意を払うことが難しくなり、自分では理解できないまま見た目の老化を加速させてしまう可能性がある」と推測しています。
このように周りから実年齢よりも老けて見られるようになると、その個人の行動やライフスタイルをに悪影響を及ぼし、心身の健康を損なう可能性があります。
また、前述したように「お金のストレス」は他のストレスと比較して様々な健康問題に悪影響を及ぼしやすい可能性があります。
なんにせよ周りから老けて見られると「自分はもう年だな」という感覚が生まれ、自分の年齢に適した生活や人間関係の維持が困難になり、無力感や孤独感に苛まれることになります。
収入を含めた金銭的な問題はなかなか解決が難しい問題ですが、「お金のストレス」と上手く付き合っていくためには、まず自分と他人の金銭的事情を比較しないことや、生きていくのに十分な最低コストを計算することが大切です。