身近な人との関係ほど、思わぬ緊張や気まずさを生むことがあるのです。
また、この研究は、セルフスクラッチングという行動が動物の社会的ストレスを測る有効な指標であることも示しました。
今後、さらに多くの群れや異なる霊長類の種を対象に同様の研究を進めることで、私たち人間の社会におけるストレスの仕組みを理解するヒントが得られるかもしれません。
このように、「仲の良し悪し」だけでは説明しきれない複雑な動物社会のルールは、私たちの日常にも通じる部分があります。
「仲良し=安心」というシンプルな構図の裏には、実は隠れた競争や遠慮、そして微妙な力関係が潜んでいるのかもしれません。
これは、社会的な動物である私たち人間にとっても、とても興味深い視点ではないでしょうか。
全ての画像を見る
元論文
Influence of proximate individuals on self-scratching behaviour in wild Japanese macaques
https://doi.org/10.1016/j.anbehav.2025.123111
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部