この伝統は日本軍に受けつがれ、日本軍は、日露戦争時とほぼ変わらぬ前提を絶対動かさずに、この中で技を競い合い、それに熟達することが無敵に通ずると本気で信じていた。そして、前提が変われば、その術は一挙に無力になるとは考えなかったのである。

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今日のセンモンカにも「自粛が感染を抑え込む」「武器支援でウクライナが勝つ」「納付増で年金が安心になる」……など、実に多様な前提を動かさずに、庶民に説教を垂れる例が多い。しかし前提がまちがっているので、まもなく彼らは旧日本軍と同じく「お前らの努力が足りないからだ!」と、責任を転嫁する単なるパワハラ屋になる。

上記の記事でご紹介した、1/22の『中外日報』への長文寄稿を、同紙が誰でも読めるオンライン版に転載してくれた。そちらでも山本の『存亡の条件』を引いているから、ぜひあわせて読んでくれたら嬉しい。

ちなみに、この程度ではまだまだ批判が足りないと思っているので、終わりませんからね(笑)。来年刊の著作を目指し、江戸の名匠が日本刀を鍛えるようにしっかり焼きを入れ続けますので、ぜひご期待ください。

(ヘッダーは2/6の The Seattle Times より)

編集部より:この記事は與那覇潤氏のnote 2025年2月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は與那覇潤氏のnoteをご覧ください。