フェイエノールトのFW上田綺世は、伸び悩んでいる選手の1人ではないだろうか。オランダのトップリーグであるエールディビジでは一定の出場機会を得ているものの、2023/24シーズンと今シーズンの23節までに38試合に出場し、8ゴール3アシスト。サポーターや関係者を納得させる数字とは言えないだろう。もちろん、1月にミランへ移籍したFWサンティアゴ・ヒメネスがエースとして君臨していたことや、途中出場や怪我での離脱など苦しい状況であったのは事実だが、それを踏まえても物足りない数字だ。

ただし、上田の実力に疑いがないのも事実だ。怪我から復帰後のCLバイエルン戦(1月23日3-0)では途中出場ながら貴重な追加点を決め、ヒメネス移籍後のエースとしてサポーターの期待を膨らませた。

しかし、上田はその後に行われたオランダ国内のライバルとの戦い、2月のアヤックス・アムステルダム戦(1-2)、PSVアイントホーフェンとのカップ戦(0-2)では全く目立つことなく、さらに注目を浴びたロッテルダム・ダービーの対スパルタ戦(3-0)ではFWフリアン・カランサに先発の座を奪われた。

また、CLのプレーオフの決勝トーナメント進出をかけた重要な一戦、ミラン戦(1-1)セカンドレグを怪我で欠場すると、ミランに移籍したヒメネスに得点を奪われチームは最悪の展開に陥った。さらにそこから現ライバルのFWカランサが値千金の同点ゴールを決め、サポーターやチームメイトに圧倒的な印象を植え付けてしまった。

もちろん、怪我での欠場ということもありやむを得ない状況ではあるが、上田の控えと目されていたカランサが大事な試合で次々と結果を残しており、上田は第二FWに降格したのは間違いないであろう。

上田のプレーに問題がある訳ではないが、伸び悩む一番の理由はコミニュケーション能力ではないだろうか。上田が欲しいタイミングでボールが出てこない場面が数々の試合を通じて明らかになっているのも事実で、上田を理解するチームメイトが少ないのではないかと思わされる。