ウクライナ自身も、数年後にまた侵攻されてしまうかもしれない。

ロシアに隣接する国(グーグル・マップより)

「欧州の安全保障は欧州の手で」

ヘグセス米国防長官は

ウクライナの安全保障は欧州及び非欧州の部隊によって支えられるべき。米国によってではない。

とも述べていた。

「ウクライナ=欧州=の安全保障は欧州及び非欧州の部隊によって支えられるべき」という発言は、誤解を招くような表現ではないかと思う。「それもそうだな、欧州のことは欧州(自分たち)でやるべきだし、これまでは米国に頼りすぎていた」「欧州も、国防予算を増やさなきゃな・・・・」という流れになりがちだ。

しかし、まずは今までの大前提を思い出してみたい。つまり、米国と欧州は分かちがたく結びついてきた。「結婚」といってもよいかもしれない。

第2次大戦終了の1940年代半ば以降、戦争で荒廃した欧州に対して米国が「マーシャルプラン」などで復興を助けている。

また、冷戦の到来によって世界は米国を中心とする資本主義圏(「西」)とソ連を中心とする共産圏(「東」)とに分かれたが、この時、以下の動きが発生した。

外務省の説明を参考にすると、「東西対立の激化の中で、1940年代後半から西欧防衛同盟の必要性が強調され、まず、英、仏、ベネルクス3国(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)の5か国によるブリュッセル条約機構(1948年3月)が成立」する。

その後、「ブリュッセル条約加盟5か国がその目的を達成するには米国の支援を必要としたこと」、「米国も西欧防衛の必要性を認識したこと」によって、1948年11月、米上院において米国の対西欧防衛協力を明確に打ち出した決議を経て、1949年4月4日、ブリュッセル条約加盟国を中心とし、米国、カナダの北米2か国及び欧州10か国により「北大西洋条約」が署名され、同年8月24日に発効した。

米国と欧州の双方が互いを必要としていた、その結果、結びつきができたというわけである。

NATOとワルシャワ条約機構