BBCの安全保障担当記者フランク・ガードナー氏はポッドキャスト「ウクライナキャスト」(12日配信)の中で、「もし米国がウクライナへの支援を止めたら、その穴を欧州諸国が埋められるのか?」と聞かれて、こう答えている。
「武器供与の面からは、とてもじゃないが、穴は埋められない。ウクライナの国民に聞けば、『戦い続ける』という答えが返ってくるが、勝つことはできないのが現状だ」。
ガードナー記者はロシアの軍需産業が巨大であることを指摘し、「毎日1000人もの戦死者を出しても、また新たに1000人もの兵士を動員できる。ウクライナは残念ながら、同じことはできない」。
英国、フランス、ドイツ、フランス、スウェーデン、フィンランドなどの欧州諸国がウクライナに平和維持目的で兵を派遣する可能性はあるのか?
「あり得るが、ロシアとウクライナの国境は1500キロほどの距離になる。すべての場所を守り切るのは難しいだろう。欧州諸国はポーランド以外は軍隊の規模を縮小してきたし、これほどの距離を十分に防衛する人的資源が十分ではない」。
コストも問題だという。「精度が高い平和維持活動に従事するのであれば、その業務としてはバッファゾーンでのパトロールがあるだろうし、ロシア側からの侵入行為に反撃する能力が求められる。空中偵察隊が必要となり、国境付近にはF16戦闘機を飛ばし、ウクライナの上空をロシアの軍用機が飛んで来たら撃ち落とし、ロシアが地上を戦車でやってきたら、これを破壊する必要もあるだろう」。
「とてもじゃないが、穴は埋められない」-これがガードナー記者の見立てなのだ。
ウクライナ支援は米国がトップ
調査会社「statista」によると、ウクライナ支援の規模の大きさランキングで、米国はトップを占める。2022年1月末から昨年12月までの軍事、財政、人道支援の合計金額を比較した。以下のグラフで軍事は黒、財政は黄色、人道支援は青色である。