もう一つは、生命が地球上で予想をはるかに超えるスピードで進化を遂げたとする考え方です。
過酷な初期地球環境が、生物同士の遺伝子交換やウイルスとの軍拡競争を急速に促進し、免疫システムをはじめとする多彩な機能を早々に獲得させたというシナリオです。
実際、CRISPR-Casのようにウイルス遺伝子を取り込んで自己防御を行う仕組みが、最先端のバイオテクノロジーにまで応用されている事実を踏まえれば、このような“巧みな対抗手段”が太古の地球で一気に洗練されたとしても不思議ではありません。
さらに研究チームは、LUCAが嫌気(酸素がない)条件下でもエネルギーを生み出せる数々の代謝経路を持っていた点に注目しており、深海や高温といった極限に近い環境でも十分に活動できた可能性を示唆しています。
パンスペルミア説か、それとも想像を超えたスピード進化か。
どちらのシナリオをとっても、わずか数億年の間に多様な生命現象を作り上げてしまったLUCAとその仲間たちは、私たちの生命観と地球史観を大きく揺るがす存在となりそうです。
多彩な遺伝子や免疫機能をもって「ウイルスとの攻防」に励んだ痕跡は、地球生命がいかにしたたかに環境へ適応し、驚くほど早い段階で高度な社会を形成しうる力を秘めていたかを物語っています。
現代に生きる私たちが、いま利用しているバイオテクノロジーの根幹が、実ははるか昔の深い歴史に結びついていると思うと、地球上での生命のドラマはますます魅力を増して感じられるのではないでしょうか。
パンスペルミアか超高速進化か――二つのシナリオが示す未来
