結果を見ると、当たり前ですが、トレーニングをしなかった人たちは、12週間経っても、筋肉は何も成長していませんでした。
一方、週3回のベンチプレスを12週間続けた人たちは、三角筋中部を除く全ての筋肉で成長が認められました。
具体的には、大きくなった順に、大胸筋(平均19.9%)、三角筋前部(平均14.9%)、小胸筋(平均11.5%)、上腕三頭筋(平均11.5%)です。特に、大胸筋の増加の程度は、小胸筋や上腕三頭筋よりも統計学的に著しく、ベンチプレスで逞しい胸が作れるということが証明されました。
なお、ランザ助教らは、三角筋中部の筋肥大が起きなかった理由について、ベンチプレスにおいて、三角筋中部は直接関節を動かすためではなく、動作を安定させる役割を果たすため、他の筋肉に比べて刺激が少ないことと、このトレーニング実験ではスミスマシン(バーベルがレールに固定されている器具)を使用したことも影響していると考察しています。

今回の結果は、ベンチプレスが胸(大胸筋、小胸筋)、肩(三角筋前部)、腕(上腕三頭筋)を同時に鍛えることができるという、トレーニング現場でよく言われていることを裏付けるものです。
そのため、筋トレ愛好者の中には、「やっぱりそうだよね」と感じた人もいるかもしれませんが、このように、当たり前に思える見解も、研究として調べて見ると違うことも多々あるため、今回の結果を踏まえて、より根拠を持ってベンチプレスに取り組めます。
一方、普段はジムで有酸素運動しか行わない人にとっては、ベンチプレス1種目だけを取り入れても、胸、肩、腕と上半身をしっかりと鍛えられることが示された事実は興味深いものでしょう。
ベンチプレス以外にも、1度に複数の筋肉の成長が見込めるコンパウンド種目としては、プッシュアップ、ラットプルダウン、ベントオーバーロー(ここまでが上半身)、スクワット、ランジ、デッドリフト、レッグプレス(下半身)などがあります。