そして、内部を空洞にすることで、木彫の仏像が取れるようになった表現が「玉眼」です。

玉眼とは水晶やガラスで作った目のことです。

仏像の頭部を空洞にすることで、くり抜いた眼球部分に水晶やガラスをはめ込むことができるようになり、まるで生きている像がこちらを見ているような表現を取れるようになりました。

玉眼は現代の人形にも使われる
玉眼は現代の人形にも使われる / credit: Wikimedia Commons

ここで當麻寺の仁王像に話を戻します。

當麻寺の仁王像は内部が空洞の寄木造頭部も空洞玉眼がはめ込まれています。そして仁王像は阿形と吽形の二体。阿形は口を開いた姿です。さらに、二体の仁王像は仁王像であるがゆえに金堂ではなく、仁王門に安置されました。

屋根はあっても屋外です。これが二ホンミツバチにとってはミラクルな条件でした。

二ホンミツバチはどうして仏像内に巣を作ったのか

二ホンミツバチは木のうろなどに営巣する性質を持っています。

そのため、長崎県の対馬のように、二ホンミツバチをつかまえるのではなく「呼び寄せる」という伝統養蜂を行っている地方があります。

二ホンミツバチを呼ぶため、丸太をくりぬいた営巣場所「蜂洞」を準備し、屋根をつけておいたものを置いておくと二ホンミツバチが住み着くので、そこから蜜をいただくという養蜂です。

自然の中でもうろになった木などに営巣する二ホンミツバチですが、そうした場所を探すのはそれなりに大変らしく、くり抜かれた丸太に住み着くことで行われてきたものです。

二ホンミツバチを呼び寄せて養蜂を行うための蜂洞。木をくり抜き、屋根をつけてある
二ホンミツバチを呼び寄せて養蜂を行うための蜂洞。木をくり抜き、屋根をつけてある / credit: Wikimedia Commons

ミツバチは新しい女王が誕生すると、旧女王は巣の中の群れを引き連れて巣を離れます。元の巣は新しい女王に譲り、自分は一部の働き蜂を連れ、新しい巣を探して旅に出るのです。これを分蜂(ぶんぽう)といいます。

季節は3月から4月頃。時折ニュースにもなり、ミツバチが球のようなかたまりになって休んでいる映像を見たことのある人も多いでしょう。