製造が極めて困難な理由

 反物質は自然界ではほとんど存在しないため、人工的に作り出す必要がある。しかし、そのプロセスは非常に困難で、1グラムを得るのに億単位の年月がかかるとさえ言われている。

 1999年、NASAの科学者ハロルド・ゲリッシュ氏は、反物質の価格を1グラムあたり62.5兆ドル(約9400兆円)と試算した。その後の研究で、技術的な課題がさらに明らかになり、実際にはこの価格を超える可能性も指摘されている。

 欧州原子核研究機構(CERN)の物理学者マイケル・ドーザー教授によると、「CERNで1年間に製造できる反物質をすべて消費しても、コップ一杯の水を沸騰させるエネルギーすら得られない」という。現在、反物質100分の1ナノグラムの価格が1キログラムの金と同程度とされており、これを換算すると1グラムあたり約5240兆ドル(約7860兆円)という天文学的な金額になる。

1グラム約9400兆円!?世界で最も高価な物質とは
(画像=画像は「Daily Mail Online」より,『TOCANA』より 引用)