地球上で最も高価な物質の価格は、驚異的な62.5兆ドル(約9400兆円)にも達するという。しかし、仮にその金額を用意できたとしても、この物質を1グラムでも手に入れることはほぼ不可能だ。というのも、これは自然界に存在するものではなく、一つ一つの原子を組み立てて作り上げる必要があるからだ。

反物質——宇宙の“影”の物質

 この驚異的な価格がつけられているのは、「反物質」と呼ばれる物質である。反物質は、通常の物質とは鏡写しの関係にある。例えば、通常の陽子(プロトン)は正の電荷を持つが、その反物質である「反陽子」は負の電荷を持つ。これらの反粒子が組み合わさることで、反原子や反分子、さらには理論上は反物質だけで構成された惑星や銀河も存在し得る。

 反物質が特異なのは、通常の物質と接触すると互いに消滅し、莫大なエネルギーを放出する点にある。この特性は映画『天使と悪魔』などでも描かれたが、現実の科学でも極めて重要な研究対象となっている。

1グラム約9400兆円!?世界で最も高価な物質とは
(画像=画像は「Amazon」より、『TOCANA』より 引用)