先の「NHKWEB」記事は、江藤農相が「正直なところ、上昇した価格が落ち着くことは当然期待している。価格は市場で決まるべきものだという考え方は変わっていないが、市場が正常化することを願っている」述べたとも報じている。石破総理も「(備蓄米放出により)コメの流通の目詰まりが解消し上昇した価格が落ち着くことを期待している」と述べたとある。

が、「上昇した価格が落ち着く」とは何たる言い回しか。「落ち着く」には「安定した状態になる」という意味はあっても、「値下がりする」という意味はない。はっきり「例年の水準まで下がる」となぜ言えないのか。が、ここでの論議はそれも絡むが、江藤氏の「価格は市場で決まるべきもの」との発言の方である。

元農水官僚氏の論の核心は、「政府の減反政策こそが米の逼迫と高騰の元凶」とするもの。即ち、政府が「米の需要が毎年10万トンずつ減る前提」で進めた減反政策によって供給が絞られるために、米価が、農相の言う「市場で決まるべきもの」にはなっていないというのである。周知の通り、モノの値段は需要と供給の関係で決まる。

農水省とJA農協がここ数年、農家に更なる減反を指導して来たことで、全農と卸売業者との取引価格は、60kg当り、21年産1万2804円、22年産1万3844円、23年産1万5306円とこの2年間で20%上昇し、10年ぶりの高値になった(24年度が速報で2万3000円になるとの記事もある)。元農水官僚氏は、米価上昇は「JA農協と農水省の筋書き通り」とまで述べている。

加えて元農水官僚氏は、「減反はJA農協発展の基礎」と述べ、「零細な兼業農家」は「農業所得の4倍以上に上る兼業収入をJAバンクに預金し」、また離農した農家も「農地を宅地等に転用・売却して得た膨大な利益もJAバンクに預金」したため、「JAは預金量100兆円を超すメガバンクに発展した」というのである。

俄か勉強の筆者に事の真相は判らない。が、食糧を含めた我が国の安全保障を盤石にするために必要な幾つかは知っている。その最たるものは、トランプのディールを見れば判る通り「国力」であり、それは経済力や軍事力や人口や民度などによって表される。資源の乏しい日本だが、幸い農・水産業は自給自足が可能であり、中でも主食の「米」は、元農水官僚氏によれば「減反を廃止すれば、1700万トン生産できる」そうだ。