DFラインは昨季から大幅な変更点はなかったが、名古屋グランパスに移籍した右サイドバック原輝綺の大きな穴を埋める存在として、センターバックからコンバートされキャンプでも溌剌とした動きを見せていた大卒3年目のDF高木践が先発。海外移籍を目指し退団した元日本代表GK権田修一の後釜には、2020-2021シーズンにかけ鹿島アントラーズの正GKとして実績がある沖悠哉が座った。


カピシャーバ 写真:Getty Images

激しい球際勝負でことごとく競り勝つ

ボール支配率ではほぼイーブンだったが、清水の変化が見受けられたのは激しい球際勝負でことごとく競り勝った部分だろう。東京Vのチャンスは前半31分の右CKからのDF綱島悠斗のシュートくらいだったが、沖のファインセーブによって防がれた。

清水は4人もの初先発選手がいながらもコンビネーションは抜群で、カピシャーバ、マテウス・ブエノといった外国人助っ人にも”秋葉イズム”が浸透し、前線からのプレスはもちろん、プレスバックも早く、対人守備での強さを発揮し幾度もボール奪取に成功した。

さらに清水はパス回しで崩すだけのチームではなかった。実際、前半40分に生まれた決勝点は、DF蓮川壮大がスルスルと上がっていた高木にロングパス。この浮き球を高木はワンタッチで折り返し、ゴール前で待ち受けていた北川が頭で決めたものだ。まさに一瞬の隙を突いた電光石火のゴールだった。

清水はその後、後半7分、敵陣でのインターセプトから宇野、北川とつなぎ、カピシャーバがGKと1対1となったが、ここはGKマテウスが体を張って守った。基本的にはポゼッションを重視しながらも、蓮川とDF住吉ジェラニレショーンの縦パスも随所に効いていた。

以前から「上手いけど、それだけ」と揶揄されることもあった清水。テクニックの上に球際の強さが加わり、東京Vの城福浩監督も、後半11分という早い時間にFW染野唯月、MF平川怜、MF新井悠太を同時投入する3枚替えや4バックへのシステム変更など手を加えたが、決定的チャンスは与えなかった。