振動するというのは、スムーズな流れではなく、流れが前後に揺れている状態です。

つまりは交流電流のような状態のことを指します。

テスラは電気の魔術師と呼ばれていましたが、その理由の1つは交流電流の発電装置を発明した点にあります。

テスラに関しては発明王トーマス・エジソンとの確執も有名エピソードですが、その原因の1つは独学で工学を学んだエジソンは、この交流の仕組みがうまく理解できなかった点にあったといわれています。

テスラとエジソンの電流戦争
テスラとエジソンの電流戦争 / Credit:三菱電機 Biz Timeline

エジソンは発電所を直流で作ろうとしていましたが、テスラは交流の方が送電のロスが少なく、直流よりはるかに扱いやすいことを理解していたため、発電所を交流で作るべきだと主張していました。

エジソンはこれに反発して、交流電流で象を感電死させる動画を作成し、交流は危険だとテスラのネガティブキャンペーンを展開したほどです。

エジソンとテスラの電流戦争は、また別のお話ですが、現在の発電所や家電がすべて交流電流で動いていることを考えれば、テスラがいかに優れた科学者だったかがわかります。

テスラは交流発電機の他に、AC-DCコンバーター(交流直流変換装置)も発明しています。

交流は送電に便利ですが、利用するために直流に変換する必要のある機械もあります。

この直流と交流の変換を整流といいますが、そのための装置がAC-DCコンバーターです。

テスラは電気に関する功績が有名ですが、あまり知られていないだけで流体力学にもかなり精通していました。

そのため、テスラは流体で交流を利用するということを想定していたのではないかと、研究チームは考えました。

そこで、研究チームはテスラバルブを使って、電気回路を模倣した流体のAC-DCコンバーターを作ってみたのです。

テスラバルブで作られたAC-CDコンバーター
テスラバルブで作られたAC-CDコンバーター / Leif Ristroph et al.,Nature Communications(2021)