エジソンと電力戦争を繰り広げたことでも有名な科学者ニコラ・テスラ。
彼は100年前に、可動部品を利用せずに形状だけで流体の方向を制御する独創的なバルブの特許を取得しています。
ニューヨーク大学の研究チームは、21年にこれまで本格的な研究がされていなかった、この通称「テスラバルブ」の流体力学を徹底調査し、これまで知られていなかった新しい機能や現代でも通用する有用性を明らかにしたと報告しています。
天才テスラの発想は、100年を経てもまだ完全に理解されていなかったのかもしれません。
この研究の詳細は、科学雑誌『Nature Communications』で2021年5月17日に公開されています。
目次
- 形状だけで流れを制御する「テスラバルブ」
- 電気の魔術師テスラが実現しようとしていたこと
形状だけで流れを制御する「テスラバルブ」

1920年にニコラ・テスラは、彼が「valvular conduit(バルブコンジット)」と呼んだ装置の特許を取得しました。
これは通称「テスラバルブ」と呼ばれていて、可動部品なしにパイプの形状だけで流体の逆止弁として機能するパルブです。
バルブというのは、流体を通したり止めたりするいわゆる水門や、逆流を防ぐ逆止弁のような装置のことです。
水道の蛇口や、ガス栓もバルブに含まれます。

こうした図説を見ると分かる通り、バルブとは基本的に稼働部品をともなっているため、長期間利用していると劣化しやすく、定期的なメンテナンスが必要な装置です。
しかし、100年前にテスラが考案した「テスラバルブ」このような可動部品を持っていません。
テスラバルブはしずく型のループを連結した変わった形状によって、順方向に対してはスムーズに流体を流すのに、逆方向に対しては流れを阻害するように機能します。
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