過去に精神疾患や神経障害、聴覚障害と診断された人はいません。

実験では先と同じロボットを使い、被験者は目隠しをして前後のロボットの間に座ります。

ここではロッドの操作と動きがシンクロする条件と、ロッドの操作と動きに0.5秒のタイムラグがある条件を用意しました。

いずれでも同じように背後のロッドは操作に応じて被験者の背中にタッチします。

(ここでは前項の解説と同様にタイムラグがある条件では、背後に誰かの気配がする錯覚が確認されている)

実験セットの模式図
実験セットの模式図 / Credit: Pavo Orepic et al., Psychological Medicine(2023)

そして実験中、被験者はヘッドホンを通して、ノイズの一種である「ピンクノイズ(ザーという強い雨や滝のような音)」を聞かされました。

さらにそのノイズの中に被験者自身の声他人の声のいずれかを紛れ込ませます。紛れ込ませるのはフランス語の簡単な単語のみです。

ピンクノイズは約3.5秒間つづき、音声はノイズ開始の0.5〜2.5秒の間にランダムに発生させます。

つまり、この実験では「ロッドの動きがシンクロ・自分の声」「ロッドの動きがシンクロ・他人の声」「ロッドの動きにタイムラグ・自分の声」「ロッドの動きにタイムラグ・他人の声」の4パターンがあり、これをランダムに被験者に割り当てます。

また実験セッションは一人あたり63回行い、その中には「人の声が含まれないノイズだけの条件」もランダムに含まれます。

こちらはピンクノイズのサンプルです。(※ 音量に注意してご視聴ください)

そして実験終了後にアンケート調査をし、被験者が「人の音声が入っていないときにも声が聞こえたかどうか」を調べてみました。

その結果、面白いことに、ロッドの動きにタイムラグがあり、かつ他人の声がノイズに紛れ込む条件で参加していた被験者は、実際には誰の声も入っていないノイズに対し「人の声が聞こえた」と報告する割合が高くなっていたのです。