すると、その動きに連動して被験者の背後に置かれた別のロッドが同じ動きをして、被験者の背中に触れます。
前後のロッドの動きがシンクロしているときは特に何も起こりません。
ところが、0.5秒のタイムラグを付けて背後のロッドを動かすと、被験者は「後ろに自分以外の誰かがいるような錯覚」を起こし始めたのです。

その理由について研究主任のオラフ・ブランケ(Olaf Blanke)氏は「感覚のズレが原因だ」と説明します。
ここでは被験者のロッドの操作と背後にあるロッドの動きがズレているわけですが、このように手元の動きのイメージと実際の動きがズレることで、感覚に違和感が生じ、被験者のうちに別の何者かの存在を感じさせてしまうというのです。
こうした感覚のズレは日常生活でも見られ、激しい運動をしてひどく疲れたときや、大切な人を亡くして強い悲しみに打ちひしがれているときに起こりやすいといいます。
具体的なケースだと、登山家にこの錯覚がよく見られるそうです。
特に標高の高い雪山などに挑戦していると、厳しい寒さや空気の薄さ、肉体の疲労感によって、自分の体のイメージと実際の体の動きに感覚のズレが生じ、一人で登っているはずなのに背後にもう一人いる気配がはっきり感じられるという。
詳しくはこちらから。
「背後に誰かいる…」一人でいるのに誰かの存在を感じる現象の科学的説明
そして同じEPFLの研究チームは今回、この実験セットを少し改良して、誰かがいる気配だけでなく「存在しないはずの声」が聞こえるかどうかを試してみました。
「存在しない声」を聞かせる実験に成功
チームは今回、同じ実験を2回独立して行いました。
両方とも24人の健康な一般男女が参加し、1回目は女性17人・男性7人・平均年齢25歳、2回目は女性13人・男性11人・平均年齢26歳で、全員がフランス語話者です。