話を薩摩に戻します。薩摩藩邸の発掘調査では2種類の豚が見つかっています。小型のブタと、それよりも大型のブタです。

小型のブタは成獣でも100kg以下で、これは琉球からもたらされた「黒いブタ」の可能性が高いとされていますが、そうすると、成獣で100kgを超える黒より大きい方は、明からもたらされた「白いブタ」ということになります。

明の時代、広東のブタは軟らかく味が濃くてジューシーなため外国でも新品種の育成に貢献したことから、佐藤信淵が美味しいと書いていたのは黒より大きい「白いブタ」の方だったのでしょう。

薩摩藩の白いブタはとても美味しかったらしい
薩摩藩の白いブタはとても美味しかったらしい / Credit: Wikimedia Commons

どちらか片方に決めず、黒も白も両方飼育していた薩摩藩は、それぞれのブタ肉の違いを味わい分けていたのでしょうか。それとも、日常用とハレの日用だったのでしょうか。そのあたりはよくわかっていません。

明治維新といえば切っても切れない薩摩藩。薩摩藩と徳川家は篤姫様だけのつながりではなく、最後の将軍、15代徳川慶喜とは何と豚肉でもつながっていました。

薩摩示現流で恐れられ、軍事システムでも幕末最強という評判だった薩摩藩は江戸時代からブタを江戸の藩邸でも飼育し、普通に豚肉を食べていたのです。

ビタミンB1を多く含み、糖質の代謝や疲労回復に役立つ豚肉。日本に新しい時代をもたらすことに貢献した薩摩藩のパワーは、もしかしたら豚肉からきたのかもしれませんね。

皆さんも、「何だか最近パワー不足かも」と思ったら、食事に豚肉を取り入れてみてはいかがでしょうか。

パワー不足?と思ったらチャーシュー麺を食べるのもいいかも
パワー不足?と思ったらチャーシュー麺を食べるのもいいかも / Credit: Wikimedia Commons

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参考文献

講談社ホームページ 「日本人は何を食べてきたか」 第6回徳川慶喜
https://gendai.media/articles/-/31267