マッハカットオフを行うには、高度や飛行速度の微妙な調整を繰り返す必要があり、最適燃費から外れやすいのです。

この問題は将来的な実用化を考える上で無視できない要素であり、Boom Supersonic社としては、エンジン(Symphony)や高度制御システムの改善によって、マッハカットオフ飛行の経済性や環境性能を高めることが重要な課題となっています。

しかし、今回の実験で新たに得られたデータは、「音速の壁を超えてもソニックブームが地上に届かない可能性がある」という理論を実証した点で画期的です。

これまで超音速飛行と強力な衝撃音は切り離せないと考えられてきただけに、Boom Supersonic社の実験結果は今後の航空機開発に大きな影響を与えると期待されています。

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参考文献

Boom Supersonic Announces Boomless Cruise
https://boomsupersonic.com/press-release/boom-supersonic-announces-boomless-cruise

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部