こうした事例は、困難を成長の機会とする「レモネードの原則」の実践ともいえます。
では、そのようなことができる人には、どのような共通点があるのでしょうか?
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そのひとつが「遊び心」です。
「遊び心」というと、単なる娯楽好きのように思われるかもしれません。
しかし、心理学では「日常の出来事を楽しみながら、柔軟に考え、クリエイティブな視点を持つ能力」と定義されています。
これまでの研究では、遊び心のある人は幸福度が高く、ストレスを感じにくいことが示されています。
しかし、なぜ遊び心がストレス耐性と関係するのか、その具体的なメカニズムは明らかになっていませんでした。
そこでシェン氏ら研究チームは、パンデミックのような大きな社会的ストレス下で人々がどのように適応するのかを分析し、この疑問を解明しようとしました。
彼らは、「遊び心のある人は未来をどのように捉え、ストレスにどう対応するのか?」という視点で調査を行ったのです。
遊び心がある人は、未来を楽観的にとらえ、高い適応力を示していた
研究チームは、2021年胃アメリカ国内の成人503名を対象にオンライン調査を実施しました。
まず、参加者の遊び心のレベルを測るための調査票「Adult Playfulness Trait Scale」を使用し、遊び心が高いグループ(HP:High Playfulness)と低いグループ(LP:Low Playfulness) に分類しました。
さらに、パンデミック中の彼らのリスク認識、未来への楽観度、ストレス対処法、日常の過ごし方を19の指標で分析しました。
その調査の結果、遊び心のある人とない人の間には、以下のような大きな違いが見られました。
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まず、遊び心がある人は現実を正しく見つつ、未来を楽観的に捉えることができていました