今回の研究で明らかになったのは、野菜などに含まれるルテオリンが、マウスの白髪化を効果的に抑えられるということです。

白髪の根本的原因とされるメラノサイト幹細胞(MSC)の減少や、細胞の老化による色素生成の低下を、ルテオリンが食い止めている可能性があります。

これは、髪の成長周期そのものを大きく変化させるわけではなく「髪の色素を保つ力」をサポートしている点が特に注目すべき成果です。

この発見が今後ヒトに応用されれば、白髪の予防や進行を遅らせる新しいヘアケア手段として期待できます。

すでにルテオリンは食品やサプリメントにも含まれる物質ですが、ヒトでの安全性や有効な使用量をきちんと確かめる臨床研究が必要です。

これらがクリアされれば、将来的には「白髪が増えてきたらルテオリンを活用する」という選択肢が、染毛以外の白髪対策として広がる可能性があります。

さらに研究チームは、ルテオリンが他の加齢にともなうトラブル、たとえば脱毛などに対しても効果を発揮できるかどうかを探っていく計画です。

今後の研究成果次第では、美容や健康の分野で大きく活用される物質になるかもしれません。

なにより日常に近い「食べ物」から生まれるケアの可能性は、とても魅力的な話題だと言えるでしょう。

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元論文

Anti-Graying Effects of External and Internal Treatments with Luteolin on Hair in Model Mice
https://doi.org/10.3390/antiox13121549

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。