(※これまでにもルテオリンは尿酸値を低下させる効果があると報告されています)

さらに、同じような抗酸化作用をもつヘスペレチン、ディオスメチンとも比較し、白髪防止効果がルテオリンに特有のものかを明らかにすることも大きな狙いとなっています。

白髪化に抗う抗酸化物質「ルテオリン」

本研究の大きな特徴は遺伝子操作によってうまれた「白髪ができやすい特別なマウス(Ednrb(+/−);RET)」を用いる点です。

通常より早く白髪になることで、加齢に伴う白髪の増え方を短期間で再現できるため、どの物質が白髪抑制に有効なのかを素早く検証できます。

今回試した抗酸化物質(細胞の老化を促進する酸化ストレスを抑える物質)は、ルテオリン、ヘスペレチン、ディオスメチンの3種類です。

それぞれセロリやブロッコリー、柑橘類、ハーブなどに含まれ、抗酸化作用があることで知られています。

研究チームは、この3つのうちどれが最も白髪を抑える効果を持つかを比べました。

投与の方法は、外用(皮膚に塗る方法)と経口(飲ませる方法)の2パターンです。

これは、皮膚から直接はたらく場合と、体の中からはたらく場合で効果に違いがあるかを確かめるためです。

たとえば、外用であれば頭皮や毛根に局所的に届きやすい一方、経口であれば体全体に成分が回る可能性があります。

実験期間中、研究者たちは定期的にマウスの毛の状態を観察し、次のようなポイントを評価しました。

白髪率: 毛全体のうち、どのくらいが白髪になっているか。

幹細胞の数や状態: 髪をつくる元になるケラチノサイト幹細胞(KSC)と、色素をつくるメラノサイト幹細胞(MSC)がどれくらい減っているか。

老化マーカーの発現: p16^INK4a(ピー・シックスティーン インクフォーエー)など、細胞の老化を示すたんぱく質がどれだけ増えているか。

遺伝子発現: エンドセリン(細胞間の情報伝達に重要な物質)とその受容体Ednrbが正常に働いているかどうか。