この起業のため、個人の投資家からを中心に、1500万円くらいの借金をしていたので、残ったのは借金だけでした。普通にサラリーマンをしていては、1500万円も返せませんから、このとき、大学卒業をして普通に就職をするという道は絶たれました。起業して稼ぐ以外の道がなくなりました。
1500万円の借金を返すため、D2Cビジネスを起業S:これだけ借金があったら、キラキラしたビジネスで社会にインパクトを与えたいとか、夢を見ている場合ではありません。夢を見るのは稼いでからです。
そこで、経験があった中国輸入のビジネスを、もう一度やることにしました。23歳のころです。
でも、まったく同じではありません。今度は、中国で売られている商品を仕入れて日本で売るだけではなく、自分でブランドを作っていき、付加価値を付けていくことにしました。最近の言葉でいえばD2C、当時の言葉でいえばOEMですね。
売り始めた商材は、ペット用品です。わたし自身が犬や猫を飼っていた訳ではないのですが、好きな人であれば金額が高くても気にせず買ってくれることが、以前の経験から分かっていたので、選びました。
S:このころ、自分自身で目標を明確にするため、「自分契約書」というのを書きました。2年後に5000万円以上で会社を売却しよう、そうして海外に行こう、そう決めました。
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Sさんが住むジョージアの首都トビリシ市内筆者撮影
S:ちょうどペット用品ビジネスを始めてすぐにコロナ禍になりましたが、ペット用品ビジネスには追い風で需要が急増しました。そのおかげもあって、目標としていた5000万円には及ばなかったものの、起業から1年後に2800万円で事業を売却することができました。
とはいえ、輸入ビジネスでは、キャッシュフローの管理が大変でした。
OEMでペット用品を作ってもらうには、前金で支払いをしなくてはいけません。支払いから納品までが約4か月、そして、日本に運搬して販売、Amazonで売る場合ですと入金があるのは翌月になります。つまり、製造会社への支払から、販売後に入金があるまで、約5か月もかかります。