ただ、宏明さんは結構大きな株式を持っていたにもかかわらず「完全に追い出す」ことをやろうとしたために、また物凄い無理のある資本政策をすることになるんですよね。(フジテレビの親会社状態になってるラジオ局のニッポン放送を上場させてしまって、そこを買収しさえすればグループ全体を支配できる状態にしてしまい、そこを堀江貴文氏に突かれて大問題に発展してしまった)
で、この「無理な資本政策」をゴリ押しするために、無理やり「宏明派」を排除しようとして会社内がギクシャクしてしまい、それで余計にコンテンツ部門のクリエイティビティも損なって視聴率レースでも後塵を拝するようになっていったことが本の中で指摘されていました。
そして、国際金融に詳しい「宏明派」を完全に排除してしまったがために、当時の溢れるようなジャパンマネーを利用した国際展開といったこともほとんどできずに、フジテレビは「国内だけの井の中の蛙」としてズルズルと衰退してきてしまった面は否めないと思います。
この『メディアの支配者』という本はライブドアによる買収劇の前後にかかれていて、中には当時の堀江さんも登場し、
自分は宏明さんのような国際金融ディールができる能力と、春雄さんのようにコンテンツ自体にちゃんと興味がある部分と、両方のハイブリッドだ
…という趣旨の発言をしていて、実際のところはどうかはともかくなかなかある種の本質を突いた言葉ではあるように思いました。
4. ライブドアによる買収の頓挫をどう考えるべきか?
じゃあ、あの時堀江さんに全部持ってかれたら良かったのに!という話なのかというと、これもなかなか難しいところがあるなと思っていて・・・
この「コンテンツ側の独自性を守る配慮」っていう部分がなかなか難しくて、そこが堀江さんの買収劇が拒否された理由でもあるし、「堀江貴文=鹿内宏明」サイドvs「鹿内春雄=日枝久」サイドの戦いの歴史を生み出してる部分でもあるのだと言えるでしょう。