この動画で堀江さんや後藤さんをはじめとする出演者の人たちですら「これってどうしてこうなってるのかな?」と謎のままだった情報もものすごく詳しくこの本(『メディアの支配者』)には書かれています。
マニアックな点でいえば、日枝久が権力を握った「クーデター」に、当時存命中だったあの司馬遼太郎本人(産経新聞OB)がしゃしゃり出てきて重要な役割を果たしたりしているところも面白いです。
今回は、この本の特に「フジテレビの権力闘争」部分のあらすじを紹介しながら、
・なぜ日枝久氏がこんなに権力を握っているのか? ・日本社会にとっての堀江貴文氏vsフジテレビ問題はどういう意味を持っていたのか?
というあたりを考察する記事を書きます。
1. 「公私の分離」が不十分だった時代の大トラブル
昔の日本は、なんだかんだ財閥関連の「公私の分離」が不十分で、資本の論理から言って特に大きな割合をもっているわけではないような人が「あの人がいうのなら」的な感じで、権力を握っていたりすることは良くあったんですが。
そのプロセスで「フジサンケイグループ」を個人的に支配していたのが「鹿内家」で、混乱はその初代の鹿内信隆氏が亡くなった頃から始まるんですね。
まず登場人物を紹介すると、以下の「鹿内家の三人」がいるんですね。初代の信隆の息子で後継者になるはずだった春雄氏が若死にしてしまった事で、娘婿の宏明氏に譲ることになって・・・というのがあらすじです。
初代・鹿内信隆 戦前は陸軍の経理担当官で、大日本再生製紙(今の日本製紙)設立などに関わる。戦後は財界繋がりからの反共団体のボスからニッポン放送・フジテレビの創業に参加し、初代社長の水野成夫を追い出して実権を握る。その後、箱根の「彫刻の森美術館」に関する怪しげな金融技術(後述)によって資本的にもかなりの支配力をフジサンケイグループ全体に持つようになる。息子、春雄にグループを譲るつもりで画策していたが春雄の方が先に若死にしてしまい、娘婿の宏明への移譲を画策するがその後本人も亡くなってしまい、混乱の源泉となる。