たとえば、カゼインが持つ凝固特性やミセル形成能力を活かして、「ポテトチーズ」と呼ばれる新たな乳製品の開発も視野に入っています。
健康志向や環境意識が高まる中、従来の酪農製品に代わる持続可能な代替品として、ジャガイモ由来乳タンパク質は市場で大きな差別化要素となるでしょう。
さらに、この技術はカゼイン生産に留まらず、卵タンパク質やヘモグロビンなど、他の動物由来タンパク質の製造にも応用可能です。
これにより、従来の畜産業に依存しない多様なタンパク質供給源の確立が期待されます。
また、Finally FoodsはB2B向けの原料供給企業として、食品メーカーとの連携やライセンスビジネスを通じて市場拡大を目指しており、この革新的技術が食品産業全体に波及し、持続可能な食糧生産体制への転換を加速させると予測されます。
もしかしたら、未来のスーパーでは「ジャガイモミルク」や「ジャガイモ卵」、さらには病院で「ジャガイモ輸血液」といった製品が当たり前になっている日も遠くないかもしれません。
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参考文献
Molecular Farming Startup Finally Foods Emerges From Stealth with Pre-Seed Funding to Develop Casein Proteins
https://www.greenqueen.com.hk/molecular-farming-finally-foods-casein-protein-the-kitchen-hub/
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部