トランプ大統領 ホワイトハウスXより

日米会談は対中路線の踏み絵

石破・トランプの日米首脳会談(日本時間8日未明)は、1兆ドルの対米投資約束が手土産となり、直ちに対日関税引き上げがされる事は回避されそうな現況だ。トランプは安倍元首相の名を出し、石破から対中強硬路線の言質を引き出した。

トランプは会談中、石破の目を見ての笑顔を見せる事はほぼなく、また共同記者会見では握手する事もなく壇上から去った。要するにこれは「対中強硬路線にきちんとシフトするなら許すが、まだ信用はしていない」というメッセージだ。石破政権がそのメッセージを正確に受け止めればよいが、能天気に単なるリップサービスと捉え実行が伴わなければ政権はともかく日本に対する報復は苛烈なものとなる。その場しのぎで定見の無い石破は真逆の媚中路線を続ける可能性も高く、有志は一丸となってこれを強く牽制する必要があるだろう。

トランプは、北朝鮮の金正恩との会談を行う事も強調した。これは従来の、金正恩と今や事実上その後見人となったロシアのプーチンを引き込み「拡大中国包囲網」を形成し、戦わずして習近平に白旗を揚げさせる大戦略の一環だろう。トランプ政権は、北にロシア、東に日本・韓国・北朝鮮、南に台湾・東南アジア諸国、西にインド・スタン諸国で取り囲み、少なくとも強い親中路線を辞めさせ最後の一刺しをすれば、中国は詰むと見ている。さもなくば、拡大BRICS+グローバル・サウスで逆に西側は詰むだろう。

トランプにとって、関税引き上げ合戦で第二次貿易戦争に突入するかの際(きわ)である対中戦略は、目下最大の課題である。しかし、その道のりは険しいがゴールと最終形は前述のように見えている。

米国のガザ所有発言

さて、前置きが非常に長くなってしまったが、一方対中戦略に比べ道のりとゴールが見えないのが、中東問題である。

トランプは4日、イスラエルのネタニヤフと共同記者会見し、パレスチナ自治区ガザを「米国が長期的に管理する。倒壊した建物や不発弾を撤去して経済開発を進める」旨のビックリ発言を行い、世界を動揺させた。トランプにこの発言をさせた諸力学を読み解く鍵として、筆者は次の3つの事項を挙げたい。