「大きな壁」「高いハードル」「天井知らずの成長」などを話題にする際も、視線と指先を上方向へ導く動作が有効です。
言葉だけではイメージしづらい要素を、実際の空間に“映し出す”ことで、聴衆の頭の中でビジョンが具体的に膨らみやすくなります。
⑤下向きの“矢印”で現実の場や仲間意識を固める
足元を指差すことで“ここに私たちがいる”感覚を強調
“この場所”“この国”“ここから始めよう”という文言に合わせて下向きに指差すと、抽象的な話ではなく現実の“いま・ここ”に焦点を合わせます。
聴衆にとっては、自分たちの足元・地元への愛着や結束を感じるトリガーとなるでしょう。
仲間と同じ地面に立つ“共通感覚”を演出
舞台の上と下で距離があっても、指を下に向けつつ「あなたたちと同じ場所に立っている」「私たち一緒に闘うんだ」と語ると、聴衆は“自分とリーダーは同じ地盤の上で繋がっている”という感覚を持ちやすくなります。
これもトランプ氏が好んで用いる手法の一つであり、“一体感”の形成に大きく寄与します。
「悪用禁止」なワケ
以上のようなテクニックは、政治家やプレゼンターにとっては強力な武器となる一方で、強い対立意識や過度な自己賛美など、社会的分断を深めるリスクも伴います。
とりわけ「敵と味方」を明確に描きすぎると、特定の集団への憎悪や偏見が助長される可能性があります。
また、過剰な自己強調は“独裁的”との批判を招きかねません。
さらに、上向き・下向きの指差しを巧みに使って大言壮語を繰り返せば、短期的には熱狂を得られても、長期的には失望や不信感を招く恐れがあります。
全ての画像を見る
元論文
What’s the point of Donald Trump? Deictic gestures in theservice of right-wing populism
https://doi.org/10.1080/10350330.2024.2442992