地球から月までの距離は約38万kmです。そして海底からマントルまでは6km。それなのに、マントルは月より遠いところになってしまいました。

しかし、「モホール計画」はアホほど穴を掘り続けていただけなのでは決してなく、「プレートテクトニクス理論」創成に役立つなど、地球科学に大きな貢献をしました。

プレートはマントルの動きに乗って進み続ける
プレートはマントルの動きに乗って進み続ける / Credit: Wikimedia Commons

とはいえ掘った最大深度は海底下で2111m。これが限界だったのです。マントルまではまだ遠い道のりです。

この限界は予算だけでなく、掘削方法にありました。

ドリルパイプを直接海中に降ろして掘削する方法では、次第に穴が埋まってしまい、それ以上掘り進むことができなくなってしまったのです。

そこで、日本でも新しい技術を導入した深海掘削船の開発が必要ではないかということになりました。

日本、「マントル到達チャレンジ」へまさかの参戦!

まあ、そこは国際協力の下でということで、「深海地球ドリリング計画(OD21)」がスタートしました。

この計画の主役は地球深部探査船「ちきゅう」です。より高性能にということで、「モホール計画」ではうまくいかなかった掘削の方法が大きく変えられ2005年に建造されました。

地球深部探査船「ちきゅう」。海底を掘削するため船となっている
地球深部探査船「ちきゅう」。海底を掘削するため船となっている / Credit:JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究機構)

「ちきゅう」はライザー掘削と呼ばれる技術を用いています。これはドリルを守るように二重になったパイプが覆い、掘った穴が圧力で崩れることを防いでいます。また、パイプには「泥水(でいすい)」が注入され、掘削で出た岩石の破片を海中に逃すことなく船上へ運ぶ構造のため、貴重なサンプルを得ることもできます。

「ちきゅう」は水深2500mの深海底から地殻を掘り進めはじめ、海底下7000mまで掘り抜く性能を持っています。