実際、レース中に生じる胃腸の不調は、ランナーがペースを落としたり、途中で棄権したりする主な原因とされています。
クーロスのように、レース中に大量のエネルギーを摂取できる選手は、こうした胃腸の問題を克服し、エネルギー源を補給しながら走り続けることで、優れたパフォーマンスが発揮できるのです。
そんな彼がマークした24時間走の驚異的な記録は、長年破られることがないばかりか、誰も300kmを超えるランナーが現れない状況が続きました。
しかし、リトアニアのアレクサンドル・ソロキンが2021年に309.399km、2022年には319.614km(平均4分30秒/km)を走破することで、不滅と思われたクーロスの大記録がついに破られました。
次のページでは、そのソロキン選手の強さの秘訣に迫ります。
現世界記録保持者のトレーニングと意外なキャリア
アレクサンドル・ソロキンは24時間走の世界記録のほか、100km、100マイル、6時間走、12時間走の世界記録も保持しており、現代のウルトラマラソンの第一人者と呼べるアスリートです。
そんなソロキンのトレーニングを詳しく分析した研究が2024年に発表されています。
彼のトレーニングを見ると、24時間走に向けて最も負荷を高めた際には、週350kmを超える常人離れした距離を走り、そのメニューもバラエティに富んでいます。
具体的には、休みの日がないのはもちろん、1日に2回走ることも多く、一度に50kmから70kmを走るメニューや、24時間走のレースペースよりも1キロ当たり1分以上速いペースでのインターバル走も取り入れています。
クーロスやオリンピックに出場するようなマラソンランナーと比べても、ハードなトレーニングに裏打ちされた確かな脚力と心肺機能が彼の強みです。
一方で、彼はこのようなトレーニングを年中続けているわけではなく、時期によってその内容にバラつきがあります。