丸1日、24時間走り続けると聞くと、何を思い浮かべるでしょうか?
例年夏に放送されているチャリティー番組を思い浮かべる人もいるかもしれませんし、中には、実際そんなことが本当に可能なのか疑っている人もいるでしょう。
実のところ、24時間走は、定期的に世界選手権も開催されているスポーツ種目として存在しています。
この記事では、丸一日走り続け、偉大な記録を残したトップアスリートを対象とした研究をもとに、彼らの強さの秘訣に迫り、そのエピソードから何を学べるのか考察します。
目次
- 驚異の胃袋 イアニス・クーロス
- 現世界記録保持者のトレーニングと意外なキャリア
驚異の胃袋 イアニス・クーロス
最初に紹介するのは、「走る神」というニックネームを持つウルトラマラソン界の偉人、イアニス・クーロスです。
彼はマラソン(42.195km)を超えるウルトラマラソンというスポーツで主に1980年代から2000年代にかけて圧倒的な強さを誇り、世界で初めて24時間で300kmを超えたアスリートです。
彼が記録した24時間走の303.506kmという驚異的な数字は、平均すると1キロを4分44秒、マラソンを3時間20分のペースで走り続けたことを意味します。
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そんなクーロスですが、一般に全身持久力として知られている最大酸素摂取量(VO2max)は、競技ランナーの中では特に高いわけではありません。
彼の最大酸素摂取量は63ml/kg/minと報告されており、これはマラソンのトップアスリートの平均的な数値に比べると低く、マラソンの自己記録が3時間20分のランナーの中にも同じくらいの人がいます。
つまり、クーロスの圧倒的な強さは、単なる全身持久力では説明できないのです。
では、彼の強さの秘密はどこにあるのでしょうか? その秘密を探ると、走りながら大量の食事を摂取できる胃腸の強さが浮き彫りになります。