資金ショート寸前に陥っていたヴィッセル神戸を、三木谷浩史氏率いる楽天が2014年12月に買収した際、チームカラーやエンブレムを一新したことで、一部の古参サポーターから反感を買った。1972年創部で50年以上の歴史を持ち、一貫してトリコロールをチームカラーとしている横浜FMが、突然カラーを一新し、ホームスタジアムの「日産スタジアム」の名前も変えるとなれば、ハレーションを起こすことは必至だろう。

しかし現在、常勝軍団となった神戸を見れば、当時はやや強引に思えた三木谷氏の手法は間違いではなかったことが分かる。「クラブ存続」を第一義とするならば、様々な変革をサポーターも受け入れなければならないだろう。

日産株を巡っては、アクティビスト(物言う株主)として知られるシンガポール本拠の「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」関連のファンドや、香港拠点の投資ファンド「オアシス・マネジメント」の保有も報じられ、台湾の鴻海精密工業も取得に前向きと言われている。かつてルノー傘下に入ったように、再び日産が外資系の傘下に入るのは時間の問題という見方もあり、うかうかしているとそうした株主の提案によって、横浜FMが潰されてしまう可能性もあるのだ。

横浜FMにとっては究極の選択となるだろうが、クラブ存続のために“脱・日産”を目指すべく、日産が持つ「横浜マリノス株式会社」の株式をシティ・フットボール・グループに買ってもらい、新オーナーにクラブ運営を託す道を選ぶ方が、傷が浅くて済むと思える。

将来的に、横浜FMのユニホームの胸から「NISSAN」の文字が消えるのは寂しさもあるが、これも時代の流れと割り切るしかない。