しかし昨オフ、同クラブは“草刈り場”と化し、主力級の選手の移籍が相次いだ。失点の多さが課題だったにも関わらず、エドゥアルド(V・ファーレン長崎)、畠中慎之輔(セレッソ大阪)、上島拓巳(アビスパ福岡)、小池龍太(鹿島アントラーズ)とDF陣のレギュラークラスが揃っていなくなっている。
新戦力の顔触れも“小粒感”は否めず、AFCチャンピオンズリーグエリート(ALCE)も並行して戦うには心許ないメンバー構成となってしまった。この動きを「ホンダとの経営統合を見据えたチームのスリム化である」と指摘する声もあった。

日産の経営状況がさらに悪化したら…
経営統合のニュースが出る前から、日産は2024年4月から9月までの中間決算で90%を超える大幅減益となり、世界で9,000人もの人員削減の方針を示していた。親会社の経営難がチーム構成にモロに影響を与えてしまった格好だ。しかも、合併交渉が破談になったことで「日産は苦しい」というイメージが固定化し、戦力補強も困難となり、むしろリストラが加速する可能性すら出てきた。
ゴーン氏の右腕として日産の経営改革に尽力し、2010年に横浜FMの社長に就任した嘉悦朗氏(2015年退任)は、親会社への依存を減らす一方で、入場料収入や、グッズ販売、スクール経営などによる収益増加に力を入れ、赤字体質からの脱却に成功。2014年にはシティ・フットボール・グループ(CFG)とパートナーシップ協定を結び出資を受けるなど、歴代最長の6年5か月の在任期間に様々な改革を断行した。
しかし今回の問題はクラブ内部でどうこう出来る問題ではない。日産という日本を代表する大企業の存続に関わる事案だ。
仮に日産の経営状況がさらに悪化し倒産に至ったとしたら、当然クラブも姿を消すことになる。日産が横浜マリノス株式会社に74.6%を出資し、実質的に運営していることに加え、フロントも日産関係者で占められているからだ。
