“何を今さら”と言われそうだが、横浜FMは1999年天皇杯決勝を最後に消滅した横浜フリューゲルスと合併した歴史があり、「F・マリノス」の「F」の部分にその名残を残している。
しかし、横浜フリューゲルスのオーナー企業だった全日空は、2021年に横浜FM公式スポンサーを降り、佐藤工業も2002年に会社更生法の適用を申請し経営破綻(2009年に川田工業・若築建設を支援企業とした会社更生手続を終結)。日産はもはや全日空と佐藤工業に義理立てする必要はなく「F」をチーム名に含める必要もないのだ。その合併劇から四半世紀、日産の立ち位置は当時の佐藤工業に近いものとなっている。
横浜FM所属選手や関係者はもちろん、サポーターとJリーグ側も“クラブ消滅”という最悪のシナリオだけは避けなければならない。日産では抱えきれないという状況となれば、日産に次ぐ19.95%の株式を持っているシティ・フットボール・グループに新スポンサーを探してもらうという手が考えられるだろう。
幸い2020年にJリーグ規約が改正され、外資系企業の参入が可能となった。今2025シーズンJ2に復帰した大宮アルディージャは、オーストリア発祥のエナジードリンクメーカーで、マーケティングとしてサッカークラブ運営やモータースポーツにも進出している「レッドブル」グループの傘下に入り「RB大宮アルディージャ」として再出発した。
シティ・フットボール・グループは本社をイギリスのマンチェスターに置いているが、筆頭株主(77.2%)はアラブ首長国連邦の王族系企業「ニュートンID」だ。嘉悦元社長が残してくれたこのコネクションを利用しない手はないだろう。
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クラブ存続のために“脱・日産”へ?
運良く買収先が見つかったとしても、まだ問題は残る。歴史あるクラブ故に横浜FMには「日産色」が染み付き過ぎている点だ。