記者会見は、テレビカメラを入れ、参加者を制限せず完全オープン、フリー記者、ユーチューバーなども含め400人が参加して行われたが、10時間超にわたった会見は、一方的かつ執拗な追及、的外れな質問なども多く、それらを会見主催者が制御できない「無秩序会見」となった。

27日会見の直後、今回の問題の発端となった週刊文春の報道に関して、週刊文春側が

《【訂正】本記事(12月26日発売号掲載)では事件当日の会食について「X子さんはフジ編成幹部A氏に誘われた」としていましたが、その後の取材により「X子さんは中居に誘われた」「A氏がセッティングしている会の”延長”と認識していた」ということがわかりました。お詫びして訂正いたします。また、続報の#2記事(1月8日発売号掲載)以降はその後の取材成果を踏まえた内容を報じています。》

として記事の訂正を行った。

この文春記事の訂正に対してフジテレビ内部では強い反発が生じていると報じられており、港社長の辞任を受けて急遽就任した清水賢治新社長も、文春への訴訟提起も選択肢の一つであるように述べている。

17日会見の失敗を受けての27日会見で経営陣が10時間超の糾弾を受けるまでの間、一方的に批判に晒されていたフジテレビ側が、文春の記事訂正で、一部「反撃」に転じたような雰囲気も感じられた。しかし、世の中やマスコミの論調の大半は、

「不正確な記事でフジテレビ批判を炎上させた後に訂正に至った文春側も問題だが、それによって、フジテレビ側の中居氏と社員間のトラブルへの対応や女性の人権への配慮の欠如などの問題がなくなるわけではない」

というもので、フジテレビへの批判は基本的に変わらない。スポンサー離れは全く解消されておらず、混迷はますます深まっている。

このようなフジテレビをめぐる問題の経緯の中で不可解なのが、「第三者委員会の設置の経緯」である。それは、問題の発端となった文春記事が訂正されたことによって、謎が一層深まったと言える。

企業不祥事としての特異性