図4下のグラフを見ていただくと、春先から10月くらいまで、蓄電する必要があります。蓄電量が最大になったのは、2023年11月5日、7,683,587MWhです。
その後は冬場の高需要期にはいります。九州といえども太陽光の仰角が低くなるからでしょう、太陽光の発電量はどんどん下がってしまい、蓄電していた分を一気に吐き出して供給することになります。2024年3月6日には蓄電量はほとんどゼロになり、その後はまた蓄電が始まるというサイクルになります。
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図4 九州電力で全量再エネで供給する場合の年間蓄電量の推移2023年度の実績データをもとに、太陽光発電のみ5倍に拡大してシミュレーション
ところで、この7,683,587MWhの蓄電池はどれくらいになるか?先ほどの紀の川蓄電所のデータをもう1度使って計算します。
・768,358万KWh ÷ 11.3万KWh = 67,996 倍
必要な敷地面積は、
・8,000㎡ × 67,996= 544 km2
福岡市の面積(340km2)の約1.5倍の敷地を必要とします。福岡市に全部蓄電池を敷き詰めてもまだ足りないのです。
関西電力は九州電力の約2.5倍、東京電力は約5倍の需要規模があります。再エネだけで電気の供給はできる。といっている人は、どこにこんな太陽光パネルと蓄電所を作るつもりなのでしょうか?
4. コストのシミュレーションリチウムイオン電池の価格は、原材料の価格に左右されるため、条件によって変わってきます。いくつかのデータを見てみます。わかりやすいように$1=150円で換算して単位は、円/kWhで表します。
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表1 最近の日・米系統用蓄電池工事実績から算出した単位容量(1KWh)ごとの費用※アメリカ 国立再生可能エネルギー研究所報告の各年の実績。同報告では時間の経過とともに減少すると予測しているが、材料価格の高騰で至近年の実績は上昇している。
日本の工事実績から、70,000円/KWhで計算します。