スキー板だけでなく、航空機の翼や風力発電のブレードなど、氷結が大きな課題となる分野は多岐にわたります。
特に北極圏や高所、冬場の空港などでは、航空機の着氷防止に大量の薬剤が使われており、環境負荷の低減が求められています。
ホッキョクグマの油に着想を得た技術が実用化されれば、こうした課題の解決に一役買うかもしれません。
さらにユニークな発想として、ホッキョクグマの皮脂を参考にした「ヘアワックス」を提案する研究者もいます。
極寒の地域で屋外作業をする人々にとって、髪の毛が濡れた状態でいると凍ってしまうリスクがありますが、それを防ぐ用途が考えられるのです。
もっとも、実際に商品化されるかは未知数ですが、自然界の巧妙な仕組みが私たちの生活に新たな選択肢を与える可能性は十分にあるでしょう。
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元論文
Anti-icing properties of polar bear fur
https://doi.org/10.1126/sciadv.ads7321
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部