安倍晋三元首相暗殺事件から旧統一教会追及がはじまったとき以来、私は報道のおかしさを指摘してきた。『情報ライブ ミヤネ屋』で司会の宮根誠司氏は、番組制作スタッフの中に旧統一教会の信者がいないか調査する必要があるという趣旨の発言をしたが、扇情的なワイドショーだけでなく報道番組や新聞までが信者の人権や信教の自由をないがしろにした。これを問題視したのは教団関係者と、私と数人のもの言う部外者だけだった。

このとき私たちは、それぞれの立場からマスコミの筋が悪いやり方は対旧統一教会に限らぬ問題を生み出すと指摘してきた。なぜならマスコミが自らの甚だしい二枚舌と矛盾から目を逸らして、旧統一教会を利用した政権批判に酔いしれていたからだ。「何が悪いのか」「それでどうなったのか」を報道しないまま、人権や正義をまくしたてて教団だけでなく信者をも迫害していたので、後々整合性が取れなくなり、何をやっているか彼ら自身がわからなくなって当然だった。

「世界の果てまでイッテQ!」は複数の制作会社が持ち回りで番組をつくり、これを日本テレビが放送している。制作会社とテレビ局は何事においても場当たり的であるため、韓国の伝統芸能を伝承している少女たちがいると理解しただけで企画が通り、制作が進行したものと思われる。リトルエンジェルス芸術団と打ち合わせをしているときか、取材中に同団の背景を知ったのは間違いないと思われるが、制作が進行しているため制作会社は日本テレビ側へ事情を打診できなかったのだろう。

もし最初からリトルエンジェルス芸術団の背景を知っていても、旧統一教会との関係と直結する映像を流さなければ視聴者に勘付かれず、放送してしまえば番組は消えてなくなると考えたはずである。なぜなら、これがテレビ局と制作会社の番組作りへの昔から変わらぬ意識であり、彼らの体質だからだ。

旧統一教会についての自社の姿勢より、番組枠を埋めて滞りなく放送を終えることのほうが重要だった。だが世間にリトルエンジェルス芸術団と旧統一教会との関係を知られてしまい、なぜ放送したのかを説明できないため大慌てで番組を差し替えたといったところだろう。教団と政権を追及したとき「何が悪いのか」「それでどうなったのか」を説明できなかったテレビ局が、リトルエンジェルス芸術団を紹介する番組を制作して放送する理由を説明できるはずがないのである。