考察からヤツの正体をちょっと良いサイズのチヌと推測した。目が良く餌を取るのが上手い、警戒心が強いわりに何度も餌を食ってくるほど貪欲、引きは竿を大きく曲げるほど強く重い、総合的に考えておそらく間違いないだろう。

ただ雑食性なのにコーンだけ全く食べなかったのは少し気になるが、まぁ中には野菜嫌いのチヌもいるんだろう。

ついに掛けた!

仕掛けを元の1本針に戻し、餌に小さめのアサリを付ける。ついでに団子のサイズも少し小さめして投入。しばらく待っていると竿先に強めのアタリが出始めた。間違いない、ヤツが餌を突いている。

ここで合わせるとまた空振りするので、じっくりとチヌのタイミングで待つ。次に来た強めのアタリにわずかに糸を送り込んでから大きく合わせた。「ノった!」

慎重にやり取り

相変わらずすごい引きだ、またしても竿が満月に曲がっている。今度は完全に針がかりしているし、糸も2号の通しにしているので切れる心配はないが、何度も逃げられているので慎重にやり取りする。

いつもより弱めに設定したドラグで時間をかけながらゆっくりと巻き上げてゆく。格闘すること数分、ようやく魚体がぼんやりと見えてきた。「ん……??」

正体はデカフグ!

魚は水面近くまで上がって来ている。ぼんやりと見えるその魚体はやはりデカい。……のだが、何かがおかしい。しばらくしてその違和感の正体に気がついた。シルエットだ!チヌみたいな細身じゃない……何か妙に四角い気がする。

「……まさか、あなたはフグさん……ですか?」

「正体不明の大物が突然ヒット!」堤防小物釣り最中にヒットした大物の正体を執念で追ってみたデカフグ浮上(提供:TSURINEWSライター夏野)

思わず敬語になるくらいデカいが、どうやら間違いないようだ。フグは相変わらずグイグイ引っ張っているが、何だか急に体の力が抜けてしまった。デカすぎて抜き上げられそうもないので、最後はお隣りの釣り人からタモを借りてようやく釣り上げた。

ヒガンフグ

それにしてもデカいフグだ。お馴染みのクサフグは可愛い手のひらサイズだが、このフグは余裕で30cmを超えている。どうやらヒガンフグという種類らしい。ヒガンは彼岸の意だろうか?何だかおっかなそうな名前である。ついでに顔つきも迫力あって怖い。