振動周波数を高くすると、それに対応した周波数帯の重力波が放射される理屈です。
結晶の僅かな振動でも、それが高速で動くように仕向けるわけです。
他にも軌道角運動量(オービタルアングラモーメント)を持つ「ねじれ光ビーム」(ツイステッドライト)を高出力で照射し、通常の直進レーザー以上に質量・エネルギー分布の非対称性を強めて重力波を発生させよう、という手法もこちらに当てはまります。
ただいずれの方法にも共通するのは、「四重極モーメントなどの質量分布の変化」を作り出すという点です。
バネにぶら下げた質量を上下させるだけ(単純な1次元運動)では重力波はほぼ出ません。
単純な物体の運動は周囲に対してほとんど対称的な引っ張り・押し込みしか働かず、遠くに波として伝わる“うねり”を生むには不十分だからです。
たとえるならば、泡だて器を使ってクリームをかき混ぜる場合を考えると分かりやすいかもしれません。
通常の泡だて器の棒は対称な作りの先端が単純な回転運動をします。
これにより発生する波は穏やかでクリームは周囲に飛び散ることがありません。
しかし重力波を使った通信を行うには、時空に可能な限り大きな波打ちを起こさねばなりません。
そのため推奨される条件として、個々が独自に回転する2つの非対称の質量(四重極以上の不均衡な質量分布)が求められることになるのです。
直感的には、たとえば「ゆがんだダンベル形」が回転するイメージを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
時空を激しくかき回し重力波の波紋を効率よく発生させるには、複雑な動きが必要とされるのです。
3:重力波は単純な動きでは上手く出てこない
また重力通信の受信方法としては、以下の5種類が知られています。
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