グリーンランドにしても、コロンビアへの移民の強制送還問題にしても、関税を使ったディール外交が基礎になっている。間もなく(2月1日?)、各国への関税アップが発表される流れだが、世界が戦々恐々としながら見守っている。
このように世界がどう動くか見えない中、イアン・ブレマー氏率いるユーラシアグループは、毎年恒例の10大リスクの1~3位を、Gゼロ、トランプ支配、米中決裂と見定めた。これまでのところ、まだ一か月だが、「順調」に、そうしたリスクが高まる方向で今年の世界は動いている。
こうした世界・トランプ大統領の動きを横目に、わが国では、先週24日に石破総理が国会開会に際して施政方針演説を異例の形で展開し、日銀は利上げを決めた。我が国の金利は17年ぶりの水準(0.5%)となる。
施政方針演説が異例の形だと述べたのには理由がある。長く役人をやっていると分かるのだが、この手の演説は、通例短冊を繋げ合せる形になることが多い。すなわち、各省・各部局から入れ込みたい「タマ」となる政策ネタを集めてそれを繋ぎ合わせるわけである。
しかし今回は、全体の約1/3が地方創生関連で、しかも冒頭にそれを述べるという形になっている。総理の地方創生にかける意気込みには驚くばかりだ。
私自身、1月16日と20日の二度にわたって総理と朝食を数名でご一緒する機会を頂いたが、初対面ながら、地方創生に真摯に取り組もうというご姿勢には感銘を受けた。議論好きで、初代地方創生大臣として取り組まれた地域の活性化に関し、その反省も含めて、熱心に考えておられることが充分に伝わる朝食会であった。
完全な私見になるが、世界情勢が目まぐるしく変わる中で、本来、お好きでお得意なはずの安保や外交関連でなかなか動きにくいということの裏返しでもあるかもしれないが、日本のこれから、少数与党政権の石破政権のこれからの突破口は地方創生しかない、と見定めておられるようでもあった。