このとき「2つのりんごAとBを、なんらかの“魔法の糸”のようなもので結んである状態」とイメージできます。
すると、どこまで離しても、測るときに“強くリンク”しているかのような結果が出るのです。
「りんごAを調べた瞬間、りんごBの性質がぴたりと決まってしまう」というわけです。
(※りんごAを調べるまでこの宇宙にリンゴの色にかんする情報(赤か青か)は存在しないのに、測定を行うと同時にりんごAの色に関する情報が出現して、りんごAの色が確定し、さらにその測定結果は見えない糸を伝ってりんごBの色に関する情報を宇宙に出現させるます)
古典物理の感覚では、遠く離れた物体同士が互いに強い影響を与えるには、なんらかの信号がそこを伝わる必要があるはずだ、というのが普通です。
一方、量子力学が示すもつれ状態は、この局所実在論(局在性+あらかじめ決まった実在があるという仮定)では説明しきれないほどの相関を見せます。
つまり「遠く離れた2つの系」が局所的(近くの範囲だけで完結する)な考え方では説明のつかないつながり方をしている――これが非局在性と呼ばれるゆえんです。
文脈性と非局在性を変換するとはどういうことか?
これまでの話から、
「文脈性」は一つの物体をいろいろな測定方法で測ったときのパターンのお話。
「非局在性」は離れた場所にいる複数の人(パーティ)の測定結果の相関のお話。
であり全く違う概念のように思えます。
しかし見方をかえると
文脈性:どの組み合わせの測定を行うか
非局在性:どの測定設定を選ぶか
となり、どちらも測定対象や測定方法のはなしであることがわかります。
また「複数の測定設定の組合せ」とそこから得られる「結果のパターン」に注目すると、「本来ならあり得ない矛盾」や「古典論では説明できない“限界超え”」が起こるという点では共通しています。
そこでスペインのセビリア大学のアダン・カベロ氏は、数学的な条件を「こねくり回す」ことで文脈性と非局在性の読み変えができることを発見します。