6次元の光が真実を照らしました。
中国の厦門大学(アモイ大学:XMU)の研究によって、量子世界の二つの不思議な性質が互いに“変換”できることが示されました。
変換の対象となったのは量子力学において「測定によって結果が左右される(文脈性)」と「遠く離れた粒子同士が量子的にもつれ合う(非局在性)」という性質です。
この2つはこれまでは全く別の現象と見なされてきましたが、新たな研究によって、実は同じ原理に基づき相互に変換可能であることがわかりました。
この発見のインパクトを古典物理でたとえるならば、かつて電気と磁気が別々の現象だと考えられていたものが、電磁気学の発展により両者が実は1つの理論で説明できることがわかったのに匹敵するでしょう。
こうした統一は、量子力学の理解を一段と深めるだけでなく、さまざまな量子技術を結びつける基盤にもなる可能性があります。
発見の鍵となったのは「6次元の量子状態を持つ光」を精密に制御する技術でした。
6次元の光は私たちが認識できる3次元の光よりも本質的に多くの情報を秘めています。
高次元化した光子がもつ複雑な性質(位相構造)を活用することで、より緻密なデータを取得できるようになったのです。
研究者たちは、この成果は「もつれた2つの光子が、遠く離れていてもどうして相関を保てるのか?という量子物理学の長年の謎を解き明かす一歩にもなり得る」と述べています。
いったい6次元状態の光には、何が映っていたのでしょうか?
研究結果の詳細は2025年1月3日に『Physical Review Letters』にて発表されました。
目次
- 量子世界の2つの性質「文脈性」と「非局在性」を互いに変換する
- 6次元の光を使うと見えてくる新事実
量子世界の2つの性質「文脈性」と「非局在性」を互いに変換する
