夜空を見上げて「私たちはどこから来たのだろう…」と考えたことはありませんか?

これまでの研究により、私たちの身体を形づくる原子は、実は遥か彼方の星々の中で作られたものだといわれます。

かの有名な天文学者カール・セーガンが “We are made of starstuff”(私たちは星の物質でできている)と語ったように、星が生まれ、進化し、爆発で散りゆく過程こそが、宇宙全体にさまざまな元素を供給する“源”だというわけです。

この壮大な「星のリサイクル工場」の中で、46億年前に太陽系は誕生しました。

しかし、どうやらその舞台は、思っていたよりにぎやかだったかもしれません。

東京大学の研究によって、太陽系誕生の直前にはすぐ近くに大質量星が存在し、激しい爆発(重力崩壊型超新星)を起こしながら、太陽系の赤ちゃん(原始惑星系円盤)に豊富な元素をもたらした可能性が示されました。

つまり、私たちの太陽系は「母なる大質量星」の“余熱”をたっぷり浴びて生まれた、いわば二世代目以降の産物ともいえるわけです。

今回は隕石という「46億年前のタイムカプセル」を手がかりに、太陽系のルーツを探る最先端の研究を紐解いていきます。

「アルミニウム-チタン宇宙核時計」という新しい技術が、太陽系に混ざり込んだ大質量星の痕跡を浮かび上がらせ、太陽系誕生の時期や場所をより正確に示してくれるのです。

いわば、太陽系誕生以前にすでに天に散った大質量星の「DNA」が、私たちの住む宇宙の片隅にしっかり残されていたのです。

「母なる大質量星」と、そこから受け継いだ私たちの太陽系の“星のかけら”たちがどのようにつながっているのでしょうか?

研究内容の詳細は2025年1月24日に『The Astrophysical Journal Letters』にて公開されました。

目次

  • 太陽系の起源となるガス雲は超新星爆発の傍らにありました
  • 隕石の中に隠された証拠:太陽系は2世代目以降の産物
  • 超新星爆発の贈り物がなければ生命は誕生しなかったかもしれない

太陽系の起源となるガス雲は超新星爆発の傍らにありました

散りゆく超新星の傍らで太陽系は生まれた
散りゆく超新星の傍らで太陽系は生まれた / Credit:Canva . 川勝康弘