というのもプロトタキシーテスの化石をどれだけ調べても、内外の組織が木とは全然違っていたからです。
また4億年以上前のシルル紀末〜デボン紀初めの地球では、クックソニアのような背の低い植物はいても、大木のような背の高い木はまだ登場していなかったからです。
それを踏まえて、カールザースは「わかった!プロトタキシーテスは木じゃなくて、でっけぇ海藻じゃないか?」との考えに至りました。
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こうしてプロトタキシーテスをめぐっては「巨大な樹木説」と「巨大な海藻説」に分かれましたが、どちらも決定的な証拠がなく、それからなんと100年以上にわたって延々と議論が続けられることになります。
そんな中、2001年になってついに「プロトタキシーテスは木でも海藻でもなく、巨大な菌類じゃ!」と喝破した人物が現れます。
ついに「巨大な菌類」と特定!その科学的な見破り方とは
2001年、米スミソニアン国立自然史博物館の古生物学者だったフランシス・ユベール(1929〜2019)が「プロトタキシーテスは巨大な菌類である」という大胆な説を唱えました。
彼が化石の表面を入念に分析したところ、カビやキノコなどの菌類でのみ観察される特有の構造「菌糸(きんし)」が見つかったからです。
ただやはりと言うべきか「菌糸が見つかったのはいいとしても、そんなデカい菌類がいるわけないだろう」と異を唱える研究者が多く、ユベールの説は懐疑的に受け止められました。
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ところが2007年に、ユベールの説を決定的に証拠立てる強い援軍が現れます。
米スタンフォード大学の古植物学者であるケビン・ボイス(1973〜)が、炭素の同位体分析から「プロトタキシーテスが菌類である」という科学的な証拠を提示したのです。
「同位体」とは元素は同じだけれど、中性子の数が違うもののことで、炭素には「炭素12・炭素13・炭素14」があります。