『スター・ウォーズ』に登場する惑星フェルーシアなど、SFではよく巨大キノコが地上を覆う幻想的な世界が描かれます。

ただそれは単なる絵空事ではありません。

地球にはかつて高さ8メートルにも達する菌類が確かに実在したと考えられるからです。

この菌類は約4億年前のデボン紀に繁栄した「プロトタキシーテス」という名前で知られます。

では、地球が誇った史上最大のSF的巨大キノコの真相に迫ってみましょう。

目次

  • 研究者も困惑。100年以上も正体不明の状態がつづく
  • ついに「巨大な菌類」と特定!その科学的な見破り方とは
  • なぜ「巨大化&絶滅」したのか? 面白すぎる新説も登場!

研究者も困惑。100年以上も正体不明の状態がつづく

プロトタキシーテスの化石が初めて発見されたのは1843年のことですが、本格的な調査がスタートするのはそれから10年以上後のことです。

カナダの地質学者ジョン・ウィリアム・ドーソン(1820〜1899)が、カナダ北東部にある約4億2000万年前のデボン紀の地層から回収された巨大な樹木のような化石を分析します。

ドーソンはその形状やサイズから「イチイ科(Taxaceae)の木にめちゃくちゃ似ている」と考え、これを「最初のイチイ」を意味する「プロトタキシーテス(Prototaxites)」と名付けました。

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Credit: ja.wikipedia, en.wikipedia

この画像はドーソンが描いたプロトタキシーテスの復元画ですが、もろに木の形をしていますね。

しかし彼がプロトタキシーテスを木と思ったのも無理はありません。

というのもプロトタキシーテスの化石は最大8.8メートルもの高さに達し、直径も1メートルに及ぶような巨大なサイズだったからです。

こんなデカい化石は木以外に考えられなかったでしょう。

ところが1872年になって、イギリスの植物学者であったウィリアム・カールザース(1830〜1922)がこれに異議を唱えます。