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85歳の男性が脳卒中で倒れ、身体が不自由となったことを苦にして、娘に安楽死の手配を頼み、スイスで安楽死を遂げる話です。フランスでは安楽死が合法化されていないため、安楽死するためにはスイスまで行く必要がありました。娘は初めは反対していましたが、最終的には父親の希望を受け入れて、スイスの安楽死団体に連絡し、事務処理をしていく様が描かれています。

娘は父親に同行してスイスまで行き、父親の安楽死を見届けるつもりでした。しかし、弁護士が、自殺幇助の罪に問われる可能性があるため、娘にスイスには同行しないように指示しました。

そのため男性は、付き添いなしで救急車に乗せられ、フランスからスイスまで搬送されました。そして、娘に看取られることなく一人で寂しく安楽死しました。親族の誰かが安楽死のことを警察に通報し、事情聴取を受けたため、娘が同行できなかったのは仕方なかったのかもしれません。

NHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」の安楽死を遂げる場面では、患者は姉に看取られ安らかに旅立っていきました。同じスイスの安楽死でも、ずいぶん印象が違います。日本の警察は、スイスへの家族の同行を現時点では黙認しているようです。ただし、突然介入してくる危険もあるため、家族が自殺幇助の罪に問われる可能性を心配して、スイスへ行くことを躊躇する患者もいるようです。

ALS女性嘱託殺人で亡くなられた女性は、家族が罪に問われる危険を心配して、スイスに行くことを断念したようです。イタリアでは、スイスに同行した人が自殺幇助の容疑で逮捕されたことが報告されています。

スイスの安楽死団体に提出するメディカルレポートを書く医師の責任、スイスに同行する家族の責任、どこまでが自殺幇助の罪に問われるのか曖昧なまま放置されている現在の日本の状況は、良くも悪くも日本的なのかもしれません。